■導入先
東京学芸大学附属小金井中学校 様
■業種
教育
■導入機種
XJ-UT352WN
国立大学附属校として、大学研究者と連携し様々な教育学研究に取り組む小金井中学校。なかでも、理科の教鞭を執る宮村先生は、ICTの積極的な活用により、独自の理論を用いた学習指導を日々の授業で実践。2019年7月より、ES機能 ※ を搭載したカシオの超短焦点プロジェクターを取り入れ、生徒の課題発表などに活用。創意工夫に満ちた授業スタイルで、主体的・対話的で深い学びの実現に力を入れています。
議論を通して自らの考えを深める。
思考の共有・比較にプロジェクターを活用。
教育学の分野で最先端の研究に取り組む東京学芸大学。同じキャンパス内に校舎を構える小金井中学校は、附属校としての特性を生かし、研究対象校として大学と連携。実際の授業を通じて、新たな授業設計や教材開発、学習評価など、様々な研究が行われています。
同中学の教員として理科を教える宮村先生も、独自の教育理論を展開し、多数の論文を発表する研究者としての顔を持ちます。ICTを活用しながら、メタ認知や自己調整学習、STEM教育などの視点を取り入れた指導を実践。生徒の理解を深め、学習意欲を育てる授業づくりを行っています。
「ICTの進化に伴い、授業スタイルは大きく変わろうとしています。教科書をなぞるだけの授業、問いと答えを直線的に結ぶだけの教え方では、生徒が自ら考える力は育ちません。わたしが取り組んでいる授業は、生徒同士の議論がベース。他者の思考プロセスを知ることで、自らの考えを客観的に捉え直し、そのうえで自分の考えを広め、深めていくのが狙いです。」(宮村氏)
主役はあくまで生徒。教師の仕事はきっかけや気づきを与えることと話す宮村先生。そうした授業において、プロジェクターが担う役割とはどのようなものでしょうか。
「課題の提示や生徒の発表など、クラス全員で情報を比較・共有するには、画面を大きく投映できるプロジェクターが有効です。同じ大型提示装置でも、液晶モニターにはない利点だといえるでしょう。なかでもカシオのプロジェクターは、明るさも画質も十分。部屋の照明を落とさなくてもキレイに投映でき、理科室など広い教室での使用に適していると思います。」(宮村氏)
準備をもっと簡単に、授業をもっと自由に。
使い勝手のよさを高評価。
理科室にはプロジェクターのほか、先生用のノートPCとタブレット、生徒用に1人に1台タブレットが用意されています。これらをアクセスポイント経由でネットワーク化しています。プロジェクターの使用感について宮村先生は、セッティングに時間がかからないという点に着目。起動から投映までの時間が短く、簡単に無線接続できるなど、その基本性能の高さに好印象を受けておられました。
「生徒の発表時間が長くなったり、議論が停滞したりするなど、授業の進行は必ずしも予定通りにはいきません。もともと自由に考えさせるのが目的なので、こうしたことに時間を費やすこと自体に問題はありませんが、だからこそ機材の準備や後片付け、使用中のトラブルは時間のムダ。スムーズかつストレスなく使えるカシオのプロジェクターには満足しています。」(宮村氏)
「また、無線接続することで、教員のPCの置き場所や立ち位置の制限がなくなります。生徒がタブレット片手にスクリーンの横でプレゼンするなど、より自由なスタイルでの授業も可能になります。研究会や教育実習でプロジェクターを使用する際は、持ち込みのPCに『C-Connection』アプリをインストール。その場ですぐに無線設定ができるなど、柔軟に運用ができるのも魅力のひとつですね。」(宮村氏)
ES機能で授業を活性化。
生徒の課題発表に、モデレーター機能が大活躍。
ICT教育のエキスパートとして、自らも現場でプロジェクターを使いこなす宮村先生。その活用方法について、実際の授業を拝見しました。注目すべきは、XJ-UT352WNに搭載されたES機能のひとつ、モデレーター機能の使い方。4画面分割表示による比較・分析は、議論ベースの授業スタイルにもマッチすると、先生ご自身も高く評価されています。
この日の課題は、運動エネルギーと位置エネルギーについて。2つのレール上を転がる小球の速度が終端で同じになる現象を実験装置で観察した後、その原理を事前の授業で学んだ知識を使って検証するというもの。
教室では、生徒を10班に分け、1人に1台タブレットを配布。各自、アプリ上で図に補助線や計算式を書き込みながら考え方をシートにまとめ、これをプロジェクター投映して発表するという流れで授業が進みます。
「はじめは自分で考える。次にパートナーと話し合う。そして班でアイデアをまとめ、クラスで発表する。最後にそれらを踏まえ、最終的な自分の考えに落とし込む。多様な思考プロセスの中から、自分なりの答えを導き出すというのが、この授業の目的ですね。」(宮村氏)
「4画面分割表示は、課題発表の総括として使用します。生徒のプレゼン資料の中から議論に生かせるものを4つ選び、とくに重要な部分をキャプチャー保存。その画像をスクリーンに分割投映します。こうすることで、スマートな解決法からユニークな発想まで、視点の異なる考え方を一覧できます。同時に議論の発散を防ぎ、うまく収束させながら次のポイントへと生徒の思考を導くこともできます。」(宮村氏)
簡単操作で授業の進行がスムーズ。
電子黒板不要で、画面への書き込みにも対応。
各班の発表から、ポイントの抽出、論点の整理、生徒への問いかけまで、授業をテキパキと取り仕切る宮村先生。プロジェクターやタブレットの操作も、実にスムーズなのが印象的でした。
「ICT授業にとって、機器の操作性は重要な要素となります。その点、このモデレーター機能は、使い方が簡単。手元のPCに無線接続中のタブレットが一覧表示され、どの画像を表示させるか選べるため、機器の操作で授業の進行が中断することもありません。プレゼンテーションやディスカッションなど、生徒参加型の授業に最適の機能ですね。」(宮村氏)
さらに、宮村先生は、プロジェクターとタブレットとの相性についても言及。生徒が発表中、画面に要点を書き入れながら説明していたことに触れ、その有用性を指摘します。
「一番のメリットは、シンプルな機器構成で、電子黒板のような使い方ができること。タブレットに書き込んだ内容がそのままスクリーン投映されるので、伝えたい箇所を画面内で明示でき、プレゼンの説得力が上がります。しかも、スクリーンに直接書き込む電子黒板より、手元で書き込めるタブレットの方が、使い勝手はいいですね。タッチペンの動作も安定しており、個人的には電子ペンより使いやすいと感じています。もちろん、画面の拡大・縮小やページ送り、表示画面のキャプチャー保存も可能。これだけのことができるのであれば、もう高価な電子黒板をわざわざ用意する必要はないのではないでしょうか。」(宮村氏)
教育現場から環境問題に対する意識向上を。
水銀フリーの思想に共感。
また、宮村先生は、東京学芸大学環境教育研究センター兼任所員として、環境教育学の研究と実践に携わるとともに、NPO法人の森林保全活動に生徒と一緒に参加するなど、環境問題と学びを結ぶ取り組みにも尽力されています。
そんな先生に、カシオのプロジェクターの最大の特長である水銀フリーについて聞くと、「水銀の危険性については承知しており、中学校では水銀を使用した開放系の理科実験は控えている」とするものの、「カシオのプロジェクターを使うまで、従来のプロジェクターの光源ランプに水銀が使われていることは知らなかった」とのこと。そのうえで、「水銀フリーの取り組みに共感している」とし、教育現場から環境に対する意識が高まることに期待されていました。
教育研究の最前線で、ICTによる授業の効率化、活性化を支えるカシオのES機能搭載プロジェクター。その活躍の場は、これからもますます広がっていきそうです。
記事制作協力:株式会社アドワークス