■導入先
埼玉県立川越女子高等学校 様
■業種
教育
■導入機種
XJ-UT351W 28台
埼玉県教育局では、2010年より「主体的・対話的で深い学び」の実現を目的とした「学びの改革」を推進。生徒の学ぶ力を有効に引き出す「協調学習」を取り入れた授業づくりに取り組んでいます。また、2018年度から県立高校のすべての普通教室にプロジェクターを順次導入し、設備機器の面からもこの計画を後押し。そんななか、川越女子高等学校には、カシオの超短焦点プロジェクターXJ-UT351Wが計28台配備。さまざまな授業の効率化、活性化に利用されるなど、ICTによる学習環境の改善に貢献しています。
学習基盤としてのICT環境構築を目指して、
全普通教室にプロジェクターを配備。
現在、埼玉県の公立高校では、教育局主導のもと、生徒の学力向上を目指した「学びの改革」を推進。東京大学CoREFと連携し、「教え込み」から「学び合い」を重視する「協調学習」を取り入れた授業づくりを行うとともに、「話す」「聞く」「考える」といった行動を通じて学ぶ力を育てる、アクティブ・ラーニング型の学習メソッドを実践するなど、継続的な授業改善に取り組んでいます。
また、「協調学習」の取り組みをICT活用の面から支えるため、プロジェクター、タブレット、アクセスポイントなど、ICT機器の全校整備を進めています。なかでも、授業での活用度の高いプロジェクターの導入状況について、埼玉県教育局・高校教育指導課の平尾主事は、次のように話します。
「新学習指導要領で、学校のICT環境整備が大きな柱とされているなか、埼玉県では、2018年度より段階的に県内全校の普通教室へのプロジェクター配備を行っています。ただ、この施策については、国の整備基準も踏まえ、県として授業におけるICT機器の活用に対する方針を打ち立てた結果。協調学習や学びの改革といった明確なビジョンのもと、長期にわたり計画・検証・評価を続けてきた努力が、ようやく予算化という成果に結びついたという印象ですね。」(平尾氏)
プロジェクターの活用範囲については、「協調学習の場だけでなく、おもに日々の授業での使用を想定している」とのこと。目指したのは、「あらゆる学習の基盤として、使う時・場所・人を選ばないICT環境」とし、これを実現するための機材として、「速・楽・耐」という特長を持つカシオの水銀フリープロジェクターに大きな期待を寄せています。
「カシオのプロジェクターは、半導体光源の使用により起動時間が速く、消灯時のクールダウンも不要。オンオフのたびに発生する待ち時間がほぼないため、準備や後片付けがスピーディに行え、授業中もストレスなく使えます。また、光源の長寿命化と防塵構造の採用により、突然のランプ切れやフィルターの目詰まりを気にせず使える点も、従来の機種とは異なりますね。ランプやフィルターを交換する手間がないといったメンテナンス性の高さも、長期運用するうえで大きな効果を発揮します。」(平尾氏)
さらに、平尾主事はカシオのプロジェクターが推進する水銀フリーの取り組みについても言及。水銀の不使用を徹底することでクリーンな未来を目指す姿勢について、「身近なところから環境意識を高めるのに役立つ」と話し、「まさに教育現場に適した機種といえるのではないでしょうか」と高く評価していただきました。
現在、3カ年計画で進められているプロジェクター導入において、カシオのプロジェクターは、初年度35校812台(XJ-UT351W)、次年度50校1,016台(XJ-UT352W)の採用が決定。学びの改革を支えるICT環境の構築に貢献しています。
プロジェクター活用のコンセプトは、
「使いたいときに、すぐ使える」。
県立高校全普通教室へのプロジェクター導入が進む埼玉県。そのなかで計画初年度である2018年にカシオのプロジェクターが配備されたのが川越女子高等学校。創立100年を超える名門高校です。校内でのプロジェクター活用について、事務室長の馬橋氏と教頭の松本氏に話を伺いました。
「当校には40人規模の普通教室が28部屋あり、すべてに超短焦点モデルXJ-UT351Wを壁面設置しています。リモコンやポータブルスクリーンも常設し、いつでも投映できる環境を整備。学校によっては、持ち運びできる備品を職員室などで管理しているようですが、ここでは「すぐに使える」ことを重視し、常設にこだわりました。」(馬橋氏)
「プロジェクターは、学年や教科を問わず、ほぼすべての授業で使用しています。投映方法としては、黒板に直接投映するスタイルがほとんどですが、明るさや画質は申し分なし。先生によっては、動画をより鮮明に映したいときにスクリーンを使用するなど、状況に応じて使い方を工夫しているようです。」(松本氏)
「一昔前は、プロジェクターを個人所有する先生が使っているのを見かける程度でしたが、今では投映していない教室はほぼない状態。授業の必需品として活躍しています。また、普通教室だけでなく特別教室や体育館での使用要望も多く、家庭科や書道の手本、理科の実験手順、体育のフォームチェックなど、撮影した動画をその場で投映したいという声が届いています。」(馬橋氏)
プロジェクターの導入により、授業の効率化、活性化が大幅に進歩したという両氏。今後、タブレットの配備がさらに進めば、協調学習の取り組みもよりスムーズになると期待を寄せられていました。
教材投映による板書削減からリスニング教材の再生まで。
英語の授業にフル活用。
続いて、授業での使用状況について、現場の声をお聞きしました。英語科の浅見先生は、長年にわたりICTと英語教育を結びつける活動を続けてきたベテラン。プロジェクター使用歴も20年以上になるとのこと。最近では、タブレットとクラウドサービスを生徒の課題制作やプレゼンテーションに活用。その様子を公開授業で披露するなど、ICT活用のモデルケースとして校内外で注目されています。
「これまでいろいろなプロジェクターを使ってきましたが、水銀フリーの機種はこれがはじめて。オンオフの速さには驚かされました。使いたいときにすぐ使えるので、限られた時間を有効活用できます。また、光源の寿命も約20,000時間と長く、ランプ交換の手間やコストが減らせるという点も魅力ですね。」(浅見氏)
「プロジェクターの使用目的は、基本的にはテキストを投映しての説明。いわゆる教材の視覚化です。生徒の視線が集中するなど、大きく映すだけでも意味があると思っています。そのうえで、書き込みや線引きを行い、ポイントとなる箇所を個別にひもといていきます。」(浅見氏)
「板書の手間が省けるぶん、説明に費やす時間がとれ、限られた授業時間を有効活用することができます。関連資料を動画で見せるのも効果的ですね。生徒の理解促進を図るうえで、イメージが担う役割は小さくありません。」(浅見氏)
「スピーカー内蔵で、外部機材を用意することなく音が出せるのもいいですね。16Wでボリュームも十分。広い教室でも問題なく使用できるため、音声のみのリスニング教材をプロジェクターで再生することもあります。」(浅見氏)
国語の授業では、活字と手書きを使い分けポイントを強調。
画像や音声も上手に活用。
国語科の相原先生は、新任として着任後、他の先生の授業観察や生徒の意見を取り入れながら自己研鑽を続け、プロジェクターを使った授業に取り組んでいます。
「たとえば古文の授業では、本文を黒板に投映し、品詞分解や現代語訳などを書き込みながら解説していきます。投映するコンテンツは自作することがほとんど。あらかじめ黒地に白文字のテキストファイルを用意しておき、黒板に映した際に見やすいよう配慮しています。」(相原氏)
実際の画面を見ると、事前に書き込む内容を想定し空欄を設けたテキストを投映。そこに書き込みを行うことで、活字と手書き文字が混在。両者の違いが生む視覚効果で、伝えたいポイントがより強調されているように感じられました。
「ほかには、画像や音声の再生にもプロジェクターを使用しています。今昔物語集の「羅城門」などを題材にするときは、地図や建物の画像があった方がわかりやすいですし、本文を朗読CDで聞かせるのも雰囲気を掴むのに効果的です。ちょっとした豆知識を追加するだけでも、記憶が定着しやすいのではないかと思います。その点、カシオのプロジェクターはオンオフが速いので、授業の中で臨機応変に資料を提示できるというメリットがあると思います。」(相原氏)
プロジェクターの活用は、図表、画像の多い理科の授業と好相性。
理科の授業を担当するのは長島先生。以前よりICT授業に関心が高く、プロジェクターの使用経験も豊富とのこと。ただ、今までに使っていたプロジェクターは、サイズが大きく持ち運びに不便だったといいます。
「これまでは教室への移動、教卓への設置、画角の調整などの手間が必要でしたが、今回のプロジェクターは据え付けなので、準備に時間がかかりません。また、オンオフが速いのも実用的ですね。起動から投映までの待ち時間がほとんどなく、授業がすぐに始められます。消灯時のクールダウンも不要なため、電源オフからの再起動もスピーディ。見せたい資料を思いついたとき、タイミングを逃すことなく投映できるので、指導の幅も広がります。」(長島氏)
「授業では、教科書を拡大表示しながら、そのつど図表や画像を差し挟んで、生徒の好奇心を高める工夫をしています。音声付きの動画など、インターネット上のコンテンツを再生することもありますね。生物をはじめ、理科の授業にはビジュアルが多く出てくるので、プロジェクターとは相性がよいのではないでしょうか。」(長島氏)
「大きい画面があると、生徒の視線が上がり、教材もクラス全体で共有できます。生徒の反応を見ながら授業を進行することができるので、先生には伝えやすく、生徒にはわかりやすい授業になっていると思います。」(長島氏)
同校では、デジタル教材の拡充、教員間の情報共有、ICT環境の整備が進むなか、授業におけるプロジェクターの需要が年々高まっているとのこと。英語・国語・理科以外でも、プロジェクターの活用が今や当たり前。今後も、さらなる活躍が期待されています。
記事制作協力:株式会社アドワークス