■導入先
株式会社 ニチレイ・ロジスティクス九州 福岡東浜物流センター 様
■業種
物流
■導入機種
XJ-UT351WN 6台、YW-40(無線アダプター) 6個、YM-80(壁掛け金具) 6個
食品を中心とした低温物流事業を展開する『ニチレイロジグループ』。その九州エリアの拠点となる『ニチレイ・ロジスティクス九州』が構える事業所の一つが福岡東浜物流センターです。顧客からの膨大な量の商品を日々預かり、出荷する中で、業務効率化のためにカシオの超短焦点プロジェクターXJ-UT351WNを導入。日々の出荷業務から、会議や研修にまで幅広く活用しています。
作業進捗の共有化についての相談が導入のきっかけ
ニチレイロジグループでは、冷凍・冷蔵温度帯における倉庫での保管、輸配送のほか、大手量販店の物流センター運営、物流全般の組み立てなど、多岐にわたる事業を展開。冷蔵倉庫の庫腹量は国内トップ、世界でも6番目のポジションを誇ります。
この低温物流事業において、どのようにプロジェクターは活用されているのでしょうか。まずは導入の経緯から、ニチレイロジグループ本社 技術情報企画部 マネジャー 中島正孝氏にお聞きしました。
「福岡東浜物流センターから、『出荷の進捗状況を共有できるツールが欲しいが、何か良いものはないか』という相談があったのです。当センターは九州に13箇所ある中でも規模が大きく、1日に約200トン、2トントラックにして100台ほどの量の商品を入庫・出荷しているのですが、その出荷作業における進捗状況を現場の作業者全員がリアルタイムで共有できる手段がありませんでした」(中島氏)
進捗管理が十分にできず作業が遅延。解決は急務だった
倉庫は4階構成になっており、1フロアにつき6部屋の倉庫があります。顧客からのオーダーに沿って商品を倉庫から出し、1階のバース(荷下ろし場)で指定のトラックに積み込みます。作業をする中で重要なのは、「どの商品を」「どの倉庫から出し」「どのトラックに載せるのか」。この指示や進捗管理を、構内放送や紙などで行なっていました。
以前の作業の進め方について、ニチレイ・ロジスティクス九州 福岡東浜物流センター 所長 川村大祐氏・所長代理 橋本昭二郎氏に伺いました。
「各倉庫で作業者が出荷作業を行うのですが、商品の量だったり、個人の能力だったりで、出荷スピードは倉庫ごとにバラツキが出ます。しかし、その進捗を全員が把握できていないため、1階に降りてきた商品を確認してみて、初めて作業が遅れていることがわかるという状況でした。トラックには商品を積み込む順番がありますので、指定の商品が積めないと全体の作業が遅延します」(川村氏)
費用対効果を追求する中で選択肢に上がった超短焦点プロジェクター
遅延は10分から、最大で30分くらいになることもあったそうです。
「作業効率を上げるため、ハンディターミナルを昨年導入し、紙ベースからデータでの管理体制にシフトしました。これにより、どの商品をどの倉庫から出すのか、そして現在トラックにどれだけ積み込まれているかが可視化されたのです。」(橋本氏)
ただし、その情報はサテライトと呼ばれる作業室にリーダーが持ち場を離れて確認しに行かなくてはならず、全員での共有はできていませんでした。それなら進捗画面を作業場の壁に表示してはどうかという話になったとのこと。はじめは液晶ディスプレイを4台繋いで、1つの大画面にすることを検討しましたが、業者から提示された見積もりの額は約500万。あまりに高く、導入はできませんでした。
そこで、ニチレイロジグループ本社に相談をしたところ、中島氏から提案されたのがカシオの超短焦点プロジェクターだったというわけです。
決め手は明るさと、
液晶ディスプレイと比べたときの導入コストの低さ
「正直、プロジェクターは暗くないと投映できないのでは?という先入観がありました。現場は明るさを確保しなくてはなりません。ですが、デモ機で試したところ、明るい場所でも問題なく情報を投映できました。」(川村氏)
「コストも液晶ディスプレイとは桁が違う低さでしたので、これは使えるんじゃないかと。あとは超短焦点というのもポイントでした。取り付け方法は天井に吊り下げることを考えていましたが、設置をするために壁からの距離が必要となると、梁や荷物などが投映の邪魔になるのではという懸念がありました。しかし超短焦点モデルは壁のすぐ近くから映せるので問題なく設置する事が出来ました。」(中島氏)
また、カシオのプロジェクターは無線LAN接続対応。パソコンとプロジェクターをケーブルでつながずに投映する事ができます。壁にケーブルを取り付ける工事が必要なかったため工事費が削減できました。
多くの商品が出入りする現場のため、使用する機器には埃への強さも求められますが、本モデルは防塵構造を採用し、埃が原因で起こる輝度低下を防ぎ、フィルターの清掃や交換作業などのメンテナンスも不要です。
作業の遅延が目に見えて減少。活用にも様々な工夫が
当センターに導入されたプロジェクターは6台。L字構造になっている1階には2台設置し、2~4階には1台ずつ設置。残りの1台は会議室で活用しています。プロジェクターの導入効果について具体的にお聞きしました。
「当日積み込む商品や、倉庫ごとの出荷割合などが作業現場に大画面で表示されることによって、全員がリアルタイムで状況を把握できるようになりました。作業が遅れている倉庫にはすぐに他の作業者をヘルプに回すことができ、結果として遅延が少なくなりました。また、仕事の遅れ具合が可視化されたことで、良い意味での競争意識も生まれました。周りに迷惑をかけないようにと一人ひとりがよりスピーディに作業をしてくれるようになったのです。これは当初想定していなかった効果ですね」(川村氏)
「もともとは夕方から夜の0時近くまでの出荷作業のために導入したのですが、現場からの要望で、1日の予定なども朝から画面に投映しています。ほかにも、倉庫内で事故のもとになりそうな箇所を赤くしたマップを投映して注意喚起するなど、みんな工夫してプロジェクターを活用しています。紙ベースで行なっていた情報共有の仕組みが、がらりと変わりました」(橋本氏)
成果に対する反響が続々。横展開に期待が集まる
こうして、朝の8時半から1日16時間稼働させることに。毎日長時間の運用となると、気になるのは光源寿命です。しかし、カシオのプロジェクターは、約20,000時間の光源寿命を誇るレーザー&LEDハイブリッド光源を採用しています。2,000~5,000時間ほどの光源寿命しかない水銀ランププロジェクターとは異なり安心感があると河村氏は言います。
レーザー&LEDハイブリッド光源は、人体や環境に悪影響を与える水銀を使っていないだけでなく、従来比で約45%OFFの省電力設計となっており、環境への負荷を低減するという点でも優れています。
「当社も環境には大変配慮しています。物流センターの屋上に太陽光発電パネルを設置したり、センター内の電球をLEDに切り替えたりするなど、省エネやCO2削減に努めています。水銀不使用という、環境に負荷をかけないという取り組みについてもとても共感できますね」(中島氏)
進捗の“見える化”による業務効率化は期待以上。この成果を、ニチレイロジグループの社内専用WEBサイトを介して全国の拠点に発信したところ、かなりの反響がありました。現在、東扇島物流センターでプロジェクター導入の検討がされているほか、問い合わせも複数来ています。今回の事例をきっかけに、他のセンターにおける進捗管理の仕組みも変わろうとしています。
激変する環境の中、常に改善する精神で新たな価値を創造し続けるニチレイロジグループ。日本各地のセンターでカシオのプロジェクターが物流業務に貢献できる日もそう遠くはないかもしれません。
記事制作協力:株式会社アドワークス