『ホームランドーム』は、中四国エリアを中心に8店舗を展開する複合アミューズメント施設。バーチャルバッティングシステムを完備し、プロ野球投手とのリアルな対戦が楽しめるのが最大の魅力だ。2011年よりカシオのプロジェクターを導入し、2016年7月現在までに累計約80台を配備。水銀ランプから半導体光源への切り替えで、長年の課題であったランプ交換の手間とコストを削減。店舗経営の健全化を実現した。
導入の決め手は、明るさとコストのベストバランス
テレビCMを放映したり、メディアに取り上げられたりと、中国・四国エリアで抜群の知名度と人気を誇る『ホームランドーム』。その第1号店として、10数年前にオープンしたのがホームランドーム岡山店だ。
全天候型の広々とした敷地内には、全8打席のバッティングブースがずらりと並ぶ。打席前方に大型スクリーンを備え、プロ野球選手のピッチング映像にあわせて投球が行われるバーチャルバッティングシステムを採用。リアルな打席体験が味わえるとあって、子どもから大人まで、幅広い世代の野球ファンが集う。
また、バッティングだけでなく、パーフェクトピッチング、バスケットボール、サッカー、テニスなど、様々なアクティビティが楽しめる各種設備も用意し、家族連れのお客様が多いのも当店の特長のひとつだ。
「バーチャルバッティングシステムは、オープン当初に導入されたもの。以来、当店の目玉として、現在まで多くのお客様に楽しんでいただいています。映像はすべて実際のプロ野球選手を撮影したものを使用。半地下にプロジェクターを設置し、前方からスクリーンに映し出しています。」と語るのは、ホームランドーム岡山店店長、兼エリアマネージャーの野村英生氏だ。
スクリーンのサイズは、横2メートル×縦3メートル。ほぼ150インチに相当し、約20メートル離れた打席からでも、はっきりと映像を確認できる。透過型スクリーンを使ったリア投映ではなく、反射型スクリーンにフロントから投映しているのは、映像をより明るく鮮明に見せるためだという。
「映像のよしあしがこのシステムのカギとなるので、画質には気を使います。プロジェクターも、いままでに各社さまざまな機種を試してきました。なかでも重視しているのが、明るさ、色味、コントラスト。とくに輝度は、3000~4000ルーメンが最低ラインですね。天幕から自然光が入り込むため、これ以下だと昼間の営業に支障が出てしまいます。」
とはいえ、オープン当初は、水銀ランプ方式のプロジェクターしか選択肢がなかった。そこに、半導体光源という新たな価値基準を提示したのがカシオのプロジェクターだ。
プロジェクターといえばランプ交換が当たり前の時代に、約20,000時間の光源寿命を実現し、面倒なメンテナンスに煩わされることなく長期使用が可能。もちろん、ランプ代も不要となるため、長く使えば使うほど、コストメリットも大きくなる。ヘビーユースが前提の当店にはもってこいの一台といえるだろう。
「カシオのプロジェクターと出合ったのは2011年。当時、経費削減の一環で、全店舗の照明をLEDに換装したタイミングと重なったこともあり、半導体光源の省エネ効果には少なからず理解がありました。そこで、さっそく導入を検討し、実機テストで投映輝度などの各種性能を検証。先行導入という形で、岡山店での使用が決まりました。」
その後、十分な明るさと優れたコストパフォーマンスが高く評価され、他の店舗にも順次導入。2016年7月現在、バーチャルバッティングシステムを有するすべての店舗でカシオのプロジェクターが運用されている。
業務用途ならではの運用スタイルにフィット
ホームランドーム各店で、日々活躍しているカシオのプロジェクター。現場での運用について野村氏に話を聞くと、その使用環境はかなりハードだ。
「当店の営業時間は、平日10:00、休日9:00から深夜3:00まで。閉店後のメンテナンスの時間を入れると、1日平均20時間近くプロジェクターを使用していることになります。しかも、鮮明な映像をキープするため、エコモードなどの輝度を抑える機能は一切使いません。そのため、ランプ交換の頻度が非常に多いのが悩みの種でした。」
「岡山店にはプロジェクターを7台設置していますが、どの機器も3ヶ月に1度はランプ交換を行っていました。日頃から、色落ちしていないか、明るさが弱まっていないかなど、画質をこまかくチェックするとともに、なるべく早い段階でランプ交換するよう心がけ、営業時間中にランプ切れが発生しないよう細心の注意を払っていました。」
さらに、当店では、常に万全な状態で映像を投映するため、数回ランプを交換したプロジェクターは、耐用年数を消化したと見なし、新しく買い替えるのが一般的だという。ランプはもちろん、本体も消耗品として扱う、業務用途ならではの考え方だ。この運用スタイルは、カシオのプロジェクターを導入した現在も継続しているという。
「カシオのプロジェクターの場合、ランプ交換という概念がありません。そこで、使用時間が10,000時間を越えると、一度オーバーホールに出します。そこから、7,000~8,000時間使用すると、新しい機器に交換するという流れが多いですね。ライフサイクル全体で比較すると、トータルコストは水銀ランプの半分くらいでしょうか。メンテナンスの手間まで含めると、大幅な経費削減と業務効率化につながっています。」
数回のリプレイスを経て、カシオのプロジェクターは、現在までにストックを含め累計約80台が納入されたという。機種は、導入時期によって異なるが、直近ではXJ-F10X、XJ-20XN、XJ-F210WNなどのアドバンスドモデルが主流だ。いずれも、3000ルーメン以上で、バーチャルバッティングシステムとの接続用にビデオ入力端子が搭載されている。
「現在は、ほとんどのプロジェクターがカシオ製になっており、ランプ交換の煩わしさからは、ほぼ完全に解放されました。必要なメンテナンスは、定期的な清掃のみ。マシンやボールから出る粉塵ゴミをエアダスターでキレイにするくらいです。業務効率化という点では、私も含めスタッフ全員の評価は非常に高いですね。もちろん、お客様の反応も上々。常連のお客様からは、画面が明るくなったという声をよく耳にします。」
今後は、新たな遊戯設備の導入なども視野に入れ、さらなる顧客満足度の向上に努めていきたいと語る野村氏。「実現の可否はともかく、バックスクリーンにプロジェクションマッピングで映像を流すことができれば、様々な演出が可能になる」など、プロジェクター活用のアイデアも尽きない。シミュレーション系の設備と相性のよいプロジェクターの活躍の場はますます広がりそうだ。