大田区立馬込第三小学校は、昨年創立75周年を迎えた全校児童約630名の小学校。「知・徳・体」の習得をモットーにした創意工夫の教育を展開。なかでも、神野校長の方針のもと、次期学習指導要領への導入が検討されているアクティブ・ラーニングという学習・指導方法を、全学年全学級でいち早く取り入れているのが特長だ。XJ-V1が導入されたのは、2年生を受け持つ梅沢先生のクラス。適材適所な活用スタイルで、児童自らの考える力を養う授業に役立てている
アクティブ・ラーニング推進校の授業を、XJ-V1がサポート
いま学校教育の現場で、新しい学びの方法として注目を集めているアクティブ・ラーニング。旧来の学習スタイルとは異なり、児童が自ら課題に取り組み、主体的に学ぶためのメソッドのことで、文部科学省も次期学習指導要領の改訂で、この方法を取り入れた授業改善を推進している。そんななか、大田区立馬込第三小学校では、来たるべき教育改革を見据え、アクティブ・ラーニング型の授業推進に積極的に取り組んでいるという。当校で、2年生を受け持つ梅沢隆史先生に話を聞いた。
「一昔前の授業では、教師の説明をひたすら聞いてノートをとるというのが一般的でした。いまでは、自分で考えるというスタイルに変わってきており、どの教科でも、教えてもらうのではなく、主体的に学んでいく授業にシフトしてきています。指導においても、教える“内容”だけではなく、教える“方法”、学ぶ“方法”が重要になっています。」
アクティブ・ラーニングでは、学習活動に主体的・協働的に取り組ませるため、教師が説明に費やす時間を極力減らすことが必要となる。その際、スムーズな授業の進行に役立つのが各種ICT機器だ。なかでもプロジェクターは、手軽に教材を提示できるだけでなく、写真や動画の投映、児童参加型の発表など、幅広いシーンで活躍する。
「当校でも教室や体育館でプロジェクターは使用していました。しかし、自由に使える機材が不足気味だったこともあり、今回のキャンペーンに応募。モニター採用を機に、モデルケースとしてわたしのクラスで使用することになりました。もちろん全校規模でのICT化も進めていますが、それに先行する形での導入ということになりますね。」
現在、XJ-V1は梅沢先生が担当する2-4の教室に常設。そのつどセッティングする手間を省くことで、どの授業でもすぐに使えるようになっている。また、段ボール箱でアングルを固定したり、スクリーンを使わずに壁面に投映したり、使わないときはシートでレンズをカバーしたりするなど、その使用方法には、限られた機材、環境のなかで、プロジェクターを有効に活用するための創意工夫が感じられた。
「はじめて見たときは、レンズまわりのデザインが印象的でしたね。実際に使用してみると、軽くて持ち運びにも便利ですし、明るさも十分。カーテンを閉めたり、照明を落としたりしなくても、画面がはっきりと見えます。また、一番驚いたのが、電源を入れてから投映までのスピード。急に見せたいものが出てきたときでも、ほとんど待ち時間なしで投映できる。これは高圧水銀ランプのプロジェクターにはない、魅力のひとつだと思います。」
XJ-V1にはレーザー&LEDハイブリッド光源が搭載されており、電源ONから最短5秒で最大輝度に達するという特長をもつ。しかも、電源OFF時のクールダウンも不要で、すぐに再起動が可能だ。授業時間を有効に使えるだけでなく、児童の集中力を切らすことなく授業を進行できるという点でも、教育現場に大きく貢献できるといえるだろう。
デジタルのよさ、アナログのよさを授業に活かす
梅沢先生によると、XJ-V1の使用方法でもっとも多いのが、書画台を使った投映。教科書を投映するのはもちろん、問題用紙を映して模範解答や添削を行ったり、児童に課題の発表をさせたりしているという。使用頻度はほぼ毎日で、1回あたり1~2時間程度。教科を限定することなく、使えるシーンがあれば積極的に活用するというのが基本的な考え方だ。
「たとえば教科書に線を引くとき、実物を指さすだけでは後ろの児童に見えにくい場合がありますが、拡大投映すれば、全員に同じ指示が行き渡ります。国語の授業で行う漢字の書き取りも、画面で筆順を説明しながら練習の様子を観察することができるので、全員が正しく書けているかどうかが一目でわかります。」
「一方で、図工の授業で立体物を提示する際は、画面よりも実物の方がわかりやすい。また、生活の授業では、地域の考察に絵地図を使いますが、これも拡大印刷した紙を貼り合わせた地図が有効。プロジェクターで一部分だけを拡大投映するより、全体が把握できた方がいいからです。」
自然観察をする際も、デジタルカメラで撮影した写真を投映し、みんなで共有する方がよい場合と、スケッチをさせて深く観察させる方がよい場合があるという。
「プロジェクターがあるからといって、すべてをそれに頼り切るのではなく、デジタルとアナログを臨機応援に使い分けることが大切だと思っています。それは、他のICT機器も同様ですね。起動のための待ち時間や使用環境が限定されるなど、システムに縛られることでかえって不便になってしまうこともありますから。そういったことを踏まえて、プロジェクターもプロジェクターにしかできないことに活用していくことが必要なのではないでしょうか。」
今後、想定される用途としては、全校児童を対象とした交通安全教室など、体育館での使用が挙げられた。輝度2700ルーメンのXJ-V1なら、明るさに関してとくに問題はないという。
「機能、性能について、欲をいえばきりがないですが、プロジェクターを選ぶ際にもっとも重視するのは明るさですね。フォーカス、ズーム、台形補正などがオートでできれば利便性が高まるのはいうまでもありませんが、これらは工夫次第でいかようにも補うことができます。ただし、明るさに関してはどうしても機器の性能に依存してしまう。もっとも4000ルーメンを超えるような高輝度が必要なわけではなく、普通に使える輝度があればそれで十分です。その点、XJ-V1にはおおむね満足しています。」
また、防塵設計のため、教室の埃やチョークの粉を気にせず使えること、光源寿命約20,000時間の実現により、ランプ交換の手間やコストがかからないことも評価。「カシオといえば、QV-10をはじめ、時代のエポックメイキングとなるような製品をつくるというイメージがある」という梅沢先生。XJ-V1に寄せる期待も小さくないといっていいだろう。アクティブ・ラーニングが本格化する来年度以降に向け、XJ-V1の活躍の場はますます広がりそうだ。