青山商事株式会社 様

現場が求めるスペック。現場が認めるパフォーマンス。DT-X400が大手アパレルメーカーの物流業務を支援。

2020年3月2日掲載

青山商事株式会社 本社(広島県福山市)
▲青山商事株式会社 本社(広島県福山市)

「洋服の青山」「THE SUIT COMPANY」などを展開する紳士服最大手の青山商事では、2018年より国内物流の整備に取り組んできた。専門部署としてロジスティクス戦略部を新たに設置するとともに、自社管理の商品センターに対し、IT環境の全面刷新を実施。全拠点の物流システムをクラウドWMSで統一することで、より迅速かつ正確な情報処理が可能な仕組みを構築した。また、端末にはカシオのハンディターミナルDT-X400を導入。入出荷、入出庫、検品、棚卸しなど、現場作業の大幅な時短化・省力化も同時に実現している。

現場による現場のためのシステム構築を目指して。

現在、アパレル業界を取り巻く環境は、ライフスタイルの多様化や消費行動の変化により、大きな変革の時期を迎えている。そんななか青山商事は、量販店のスケールメリットを活かした商品力と販売力を武器に、ビジネスウェアのリーディングカンパニーとして業界を牽引し続けてきた。その実績を支えているのが、全国約900店舗に、日々アイテムを供給する商品センターだ。

青山商事は、神辺、井原、田川、千葉、倉敷、卸町に自社管理の商品センターを有する。これに、EC特化型のロジスティクスセンター横浜町田、グループ会社の商品センターを加え、アパレル業態の物流業務全般を行っている。今回新たに導入が決定したシステムは、全社的な戦略的物流管理システムの構築を目的としたもの。2020年をめどに全拠点への完全配備が進められている。

導入計画のスタートは2018年。新しく設置されたロジスティクス戦略部主導のもと行われた。同部で推進の中核を担う藤田雅俊マネジャーによると、「製造・小売の業態において、物流はコストやサービスに直結する要素のひとつ」であるとし、「今回、全社的な取り組みとして物流への投資に踏み切ったのは、経営指標に大きな影響を与える項目として、その存在が今まで以上に重要視されている証拠」だという。

その一方で、藤田マネジャーは、「これまでは物流システムを管理する専門部署がなく、IT・システム部がその役割を担っていた」とも話す。「システムや端末の選定も、導入実績のある開発会社に一任するケースが少なくなかった」といい、「スムーズに導入できる反面、実際に使用する現場の声が届きにくかった」と、課題を指摘する。

そこで、今回の導入計画では、「現場で使うものは、現場で選ぶ」という考えのもと、よりオープンな手法を採用。各部門から横断的にメンバーを招集しタスクフォースが結成された。その中には各センターの代表者も含まれており、「検討段階からより多くの意見を取り入れることができた」とする。

もちろん、システムの仕様や要件などの詳細は、IT・システム部と協議し策定する。そのうえで、どの開発会社にシステム構築を依頼するかを、タスクフォースのメンバー全員で決定。最終的な選定は、無記名による多数決投票で行われたという。

投票の結果、採用されたのがクラウド型のWMSだ。オンプレミスでWMSを運用していた拠点のサーバー入替時期と重なったこともあり、ハードリプレースに比べてコストメリットの大きいクラウド型を選択。WMS導入実績のなかったその他の拠点も、同じシステム構成で統一することとなった。

ロジスティクス戦略部 藤田雅俊マネジャー
▲ロジスティクス戦略部 藤田雅俊マネジャー
球団や日本代表チームの公式スーツが並ぶ本社ロビー
▲球団や日本代表チームの公式スーツが並ぶ本社ロビー

「これでいい」ではなく「これがいい」。使う人に最適な一台を。

無記名投票によるベンダー選定もユニークだが、端末の採用手順も独特だ。通常、端末はシステム開発会社から提案されるケースがほとんどだが、青山商事ではシステムと端末を、独自の基準で個別に検討。ここにも「現場で使うものは、現場で決める」という現場主導の考え方が活かされている。

藤田マネジャーによると、機種の選定にあたっては、「展示会やカタログなどを参考に、ゼロから情報を収集した」とのこと。あらかじめ必要なスペックとして、強度、駆動時間、質量、画面サイズ、読み取り性能などを洗い出したうえで、「メーカーから実機を取り寄せ、各センターの従業員から持ちやすさ、見やすさ、使いやすさなどの意見を集約」したという。

「画面の視認性については、原寸大の表示サンプルを作成し、実際の使用イメージを想起しやすいよう工夫しながら比較・検証を行いました。従業員の高齢化が進むなか、画面は大きい方がよいという人がいる一方、長時間使うので本体は小さく軽い方がよいという意見もあり、画面・サイズ・重さのバランスは、最後まで慎重に検討しました。「これでいい」という妥協ではなく、「これがいい」と納得するまで、機種の選定には時間も手間もかけています。」

最終的に選ばれたのは、カシオのハンディターミナルDT-X400。形状はグリップタイプ、画面サイズは3.2インチ、重さは約260g。人間工学に基づいた設計で、使いやすさを追求したモデルだ。採用の決め手について、藤田マネジャーは、「触った感触や、持ちやすさ、握りやすさなど、手持ち感のよさを評価する人が多かった」と話す。「女性従業員からも、持ちやすく、疲れにくいという感が寄せられた」という。

また、取り寄せた端末のなかには、Windows OS、Android OSの機種が混在していたが、IT・システム部と協議し、「安定性はあるがサポートが切れるWindowsよりも、汎用性と将来性に優れたAndroidがよいと判断した」という。

DT-X400は、神辺商品センターに30台、田川商品センターに15台が先行導入され、2019年11月より本格稼働を開始。2020年内に残りの拠点へ計122台の導入が予定されている。また、クラウドWMSとは、業務用アプリ「Biz/Browser」を利用することで連携を実現している。

端末の比較検討用に作成した画面表示サンプル
▲端末の比較検討用に作成した画面表示サンプル
神辺商品センターに導入されたDT-X400(計30台)
▲神辺商品センターに導入されたDT-X400(計30台)

作業負担軽減から生産性向上まで。商品センターの業務改善に貢献。

DT-X400が導入された物流拠点のひとつ、神辺商品センターは、「袖もの」といわれるスーツ、礼服、ジャケットなどの重衣料アイテムを取り扱う。1階から5階のフロアに、トロリー搬送に対応したハンガーレールシステムを備え、1日に約3,000着の入荷、約5,000~10,000着の出荷業務が行われる。

藤田マネジャーに端末の活用状況を聞くと、「入荷検品、出荷検品を中心に、入庫時のロケーション管理、出庫時のピッキング、棚卸しなどに使用している」と説明。そのうえで「基本的な作業の流れは従来と同じだが、端末がバッチ式から無線LAN式に変わったことがポイント。RFTによって得られるメリットは大きい」と指摘する。

具体的には、「各フロアで読み取り作業を行った後、そのつど1階まで移動しバッチ処理でPCにデータを転送していた」手間がなくなり、「アクセスポイント経由で、どこにいてもリアルタイムにデータを転送することが可能になった」とのこと。

これにより、大幅な業務効率化を実現。「従業員一人につき1日あたり、歩数にして約3,000歩、時間にして約25分の作業量削減効果が得られたという測定結果も出ている」と話す。

動作分析や工程分析については、5月のKPI管理システム導入とともに、より詳細なデータを収集する予定。「人と物の動きの見える化するためには、ロケーションを論理的に細分化することが重要であり、新しい環境下でこれらを運用していくのに、RFTは大いに役立つ」と述べる。

また、藤田マネジャーは、在庫管理面でのメリットについても言及。「読み取りと同時にDBが更新され、出荷可・不可などのステータスを含めた正確な在庫情報が端末上で照会できる」「作業記録から進捗状況をタイムリーに把握できる」「クラウド連携により、在庫情報を各拠点と本部で共有できる」といった点が、高く評価された。

操作性については、導入前にしっかりと検証したおかげで、実稼働から数ヶ月を経た現在まで、スキャンの精度やスピード、バッテリーの持ちを含め、トラブルは殆どない。従業員の評判も上々だという。そのうえで、今後の展望について藤田マネジャーはこう締めくくる。

「今回の推進は、国内物流整備の第一段階。WMSの刷新とハンディターミナルの導入で、まずは各センターの作業負担を軽減することを目標にしました。今後は、KPI管理システム導入による業務効率化、在庫データの横串活用による拠点間連携の強化など、より総合的な視点で、物流業務の改善、生産性の向上を目指していきたいと考えています。」

「その際、業務用端末で多くの実績を持つカシオ計算機の知見は、当社にとっても貴重なリソースとなります。今回の導入をきっかけに、これからも物流という枠を超えたパートナーとして、さまざまなことに取り組んでいけたらと思います。」

青山商事 神辺商品センター
▲青山商事 神辺商品センター
ハンガーレールに多数のアイテムが並ぶ
▲ハンガーレールに多数のアイテムが並ぶ
DT-X400を使った棚卸しの様子
▲DT-X400を使った棚卸しの様子
持ちやすいグリップタイプで読み取りもスムーズ
▲持ちやすいグリップタイプで読み取りもスムーズ

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