株式会社トライアルカンパニー 様

スーパーセンターの店舗端末にIT-G400を採用。業務効率化と顧客サービスの向上を実現。

2019年1月24日掲載

▲株式会社トライアルカンパニー(福岡県福岡市)

トライアルカンパニーは、食料品や日用品などを扱うスーパーセンターを全国展開する小売・流通企業。「テクノロジーで流通を変える」という発想のもと、レジカート、夜間無人店舗など、IT技術を駆使した店舗運営を積極的に行っている。2018年には、自社開発のシステムと連動する店舗端末として、カシオのハンディターミナルIT-G400を導入。オペレーションにかかるコストと時間を削減するなど、業務効率化を徹底することで、さらなる低価格化、サービス品質の向上に取り組んでいる。

業務用端末に求められる実用性と、国産メーカーならではの信頼性を高く評価

九州エリアを中心に、郊外型の総合小売店を展開するトライアルカンパニー。取り扱う商品は、食料品、日用品や衣料品、医薬品など多岐にわたり、衣・食・住のライフスタイルパートナーとして、地域の暮らしを支えている。店舗数は、2018年12月現在、日本全国で232店舗にのぼる。

同社は、ソフトウェア開発事業を主力としてスタートしたという異色の経歴を持つ。なかでも、1980年代の創業初期から、小売・流通業に特化したIT分野の技術開発に力を入れており、そこで得られたノウハウが現在の店舗運営に生かされているという。トライアルグループの中で情報システムの構築を担う、株式会社ティー・アール・イーの張氏と王氏に話を聞いた。

「当社では、主にトライアル各店で使用する店舗業務システムや端末管理ツールなど、ソフトウェアの企画・開発・運用を行っています。福岡本社のほか、中国に開発拠点があり、300名以上のスタッフが在籍。「流通情報革命」というキーワードのもと、買い物を支えている仕組みを根本から変えていくという目標を掲げ、ITやAIを取り入れた店舗開発にソフトウェアの面から取り組んでいます。」(張氏)

また、同社では、ソフトウェアの開発以外にも、店舗端末を自社で委託開発・生産をしていた実績もあるとのこと。オペレーション、インフォメーション、コミュニケーションを1台で担う「3 in 1」のPDA端末を独自開発し、Plan、Action、Check、Education、Recoveryの頭文字をとって「PACER」と呼んでいる。

この呼称は、他社製品を採用するようになった現在も受け継がれており、最新機種となる三代目、つまり「PACER 3」として導入されたのが、カシオのハンディターミナルIT-G400だ。

「一代目は、故障や破損が多発し、業務用の端末として信頼性に欠ける面がありました。二代目から他社製品に切り替えましたが、それでも液晶の不良や電源が落ちてしまうなど、不具合が多く見られました。そこで、OSにAndroid™を搭載したPDA端末のなかから、最新のスペックを持つ機種の導入を検討。数多くのメーカーの端末を比較し、項目毎に点数をつけながら候補を絞り込み、最終的にカシオのハンディターミナルIT-G400にたどり着きました。」(王氏)

検討の際、重要視したのは、本体価格、バッテリー性能、耐久性、視認性など。実績という面では、以前、カシオ製Windows® CEの端末を導入したことがあり、保守などに不満がなく、メーカーとしての信頼性で基準をクリアしたという。

「検討段階からテスト期間に至るまで、親身になって対応いただいたことも決め手のひとつですね。レスポンスも速く、お互いの距離が近いという印象を受けました。国産メーカーなので、外資系のメーカーに比べて保守サービスがスムーズできめ細かいという点も高く評価しています。」(張氏)

機種選定の後、実際の店舗で数ヶ月をかけ実証テストを実施。スキャンやタッチパネル入力などの操作性はもちろん、業務アプリの動作、システムとの連動、通信の安定性など、様々な項目が検証された。それらを総合的に判断し、本採用が決定。2018年3月から各店舗への本格導入を始め、2019年2月をめどに200以上の店舗へ約2,500台の納入を計画している。

▲株式会社ティー・アール・イー 執行役員 第一事業部 第四システム開発部 部長 張 杰 氏
▲株式会社ティー・アール・イー 店舗システム部 課長 王 玉泉 氏

店舗業務から情報共有まで、様々なシーンで多機能端末としてのポテンシャルを発揮

2018年4月の導入以来、各店舗での運用が進められているIT-G400。数ヶ月にわたり綿密に検証を繰り返してきた同機種だが、実践の場においてもその性能をいかんなく発揮している。

そのひとつが、スタミナ性能。トライアルカンパニーでは全国232ある店舗のうち、実に200店舗以上で24時間営業を実施しており、精密機器の使用環境としてはかなりハードだ。その点、IT-G400は大容量充電池パックを使用することで24時間の運用が可能。充電や電池交換なしで、複数のシフトをまたいだ長時間使用に対応している。

「バッテリーの持ちがいいということは、業務を中断する心配がないというだけでなく、充電をする手間の軽減にもつながり、オペレーションがよりシンプルになります。その分、従業員の負担も減り、業務を効率化できます。さらに、IT-G400は落下強度や耐環境性にも優れており、ラフな使い方をしても壊れにくいというメリットもあります。従来の機種で不具合が多発していたことを考えると、信頼性という面で数段グレードアップしたと思います。」(張氏)

また、スキャン性能をはじめ、様々な業務に対応した多機能スペックについても高く評価。その活用例を、店舗業務と情報共有という、ふたつの側面から挙げていただいた。

「店舗業務については、在庫確認や売価チェックなどの業務から、発注・返品・廃棄・振替などの商品管理業務、さらには棚札、値引きラベル、POPなどの発行まで、一通りのオペレーションを端末上で行うことが可能です。入力には、バーコードをスキャンすることが多いのですが、IT-G400の読み取り性能には非常に満足しています。実測はしていませんが、体感的にスピード、精度ともに大幅に向上したことが実感でき、業務の時短化はもちろん、作業時のストレス軽減という意味でも役立っています。」(王氏)

「情報共有については、本部からの指示伝達、現場からの作業報告などを端末上で処理。作業管理や要員管理を行うLSPと連携する形で運用しています。また、陳列などを変更した場合は、内蔵のカメラで撮影し画像で報告することもできます。その他、自店の売上情報や掲示板などを参照できるうえ、トラベースと呼ばれるデータベースにもアクセス可能。オンラインマニュアルで基本的な業務手順を確認することもできます。」(張氏)

これらの業務処理を行うため、同社では50以上の端末用アプリを自社開発している。また、MDMもインハウスで開発し、膨大な数の端末を一括管理しているとのこと。ここまで独自のスタイルにこだわるのは、ソフトウェア開発の実績とノウハウに自負があることもさることながら、ITで流通を変えていくという強い意志が感じられる。

同社が目指す業務効率化の先には、時短化により人件費を抑制することで、コスト削減の成果を商品価格の低下という目に見えるメリットで顧客に還元するという狙いがある。また、効率化により創出した時間を、別の新たな作業に割り当てることで、サービス品質を向上させるという目的もあるという。

今後の展望として、張氏、王氏は、まず全店への端末導入を目指すとしながらも、音声通話やメールによるコミュニケーション機能の拡充なども視野に入れながら、IT-G400のポテンシャルをフル活用していきたいという。さらには、端末の位置情報を取得することで、従業員の作業動線を分析し、より効率的なオペレーションにつなげていきたいとも話す。

画像認識による顧客分析、決済システムの多様化、ビッグデータを駆使したマーケティングや物流の最適化など、IT技術の進化により、小売業界はいま激変の時代を迎えている。その最前線で様々な取り組みを続けるトライアルカンパニー。店舗業務の中核を担う端末として、IT-G400の活躍の場は、これからもますます広がっていきそうだ。

▲本社構内にある実験店舗「トライアル ラボ店」でのIT-G400使用イメージ

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