導入の決め手は光源寿命でした。
トータルコストを重視してカシオのプロジェクターを選びました。

袋井市教育委員会 学校教育課 主幹兼指導主事
太田 欽哉 氏

袋井市教育委員会 学校教育課 主幹兼指導主事 太田 欽哉 氏

国の教育振興基本計画のもと、全国の学校でICT化が進められているが、文科省実態調査によると、平成28年3月時点で、全国の公立学校(小学校、中学校、高等学校、中等教育学校および特別支援学校)における普通教室の電子黒板整備率は平均して21.9%だという。しかし、静岡県袋井市では、平成28年度に浅羽東小学校をはじめとする全12小学校、すべての普通教室210教室(特別支援学級を含む)に、カシオのプロジェクター XJ-UT310WNとインタラクティブホワイトボードYN-W72D-Cを導入し、すべての教員がICTを活用した授業を行える環境が整備された。導入の経緯について、袋井市教育委員会 学校教育課 主幹兼指導主事の太田欽哉氏に話を聞いた。

「電子黒板機能活用プロジェクターについては、様々な機種を検証しましたが、決め手の一つは光源寿命でした。一般的な水銀ランプが約3,000~5,000時間なのに対し、カシオの半導体光源は約20,000時間でした。プロジェクターの使用を1日4時間、年間1,000時間で試算すると、水銀ランプの場合、3~5年に1回の交換が必要になります。市内の全小学校、全学級に導入することを考えると、その費用は莫大なものになります。長く使うことが前提なので、初期費用だけでなく、運用管理まで含めたトータルコストを重視し、カシオのプロジェクターを選びました。」

教室でプロジェクターを使用する場合、スペースや使い勝手を考えると、天吊り設置することがふさわしいが、部品代や工事費に多額の費用をかけるより台数を増やし全教室への設置を優先した。その結果、袋井市の小学校12校すべての普通教室(特別支援学級も含む)210教室に導入することができた。このことにより袋井市内のすべての児童がICT機器の整った教室で授業を受けることができるようになった。

「すべての児童に同じ学びの環境を提供するのが目的なので、設備が整った教室とそうでない教室があるのは望ましくありません。そこで、目的達成のためには財政面で苦労しましたが、利便性よりも全教室配備に重点を置きました。おかげで、袋井市の小学校12校、すべての普通教室210教室に導入することができました。」

また、太田氏はICT機器の活用については次のように話した。

「とはいえ、すべての教室でプロジェクターが整備され、今スタートラインに立った状態です。今後、教員ひとりひとりがICT機器に対する理解を深め、授業にどう活かしていくかが重要です。若い世代の先生にとってICTの活用は、教材の提示や児童の参加方法など、工夫次第で授業の幅を広げることに役立つでしょう。また、授業力の高いベテランの先生にとっては、まさに鬼に金棒となる可能性を秘めています。今まで培ってきた授業スタイルに磨きがかかり、学習効果をより高めることができるのではないでしょうか。」

導入することより、活用することに意味があると語る太田氏の言葉には、現場を知る人間ならではの学校教育に対する熱意が感じられた。