日本アクセス北海道株式会社 様

IT-G500を活用した音声システムの導入により、センター業務の効率化と品質向上を実現。

2016年11月30日掲載

「心に届く、美味しさを」という企業スローガンのもと、食品卸売業を通じて北海道地域の食を支える日本アクセス北海道。同社では、幅広い品揃え、徹底した品質管理、迅速な配送体制など、商品・地域特性にあった物流システムをいち早く確立し、多様化する食のニーズに応えてきた。2016年には、物流拠点のひとつである江別ドライ物流センターに音声システムを導入。ハンズフリーオペレーションを実現することで、作業の効率および精度を大幅に改善するなど、さらなる生産性向上に取り組んでいる。

  • システム開発:株式会社アルファライブ、音声対話エンジン:旭化成株式会社製 VOHMIAK PD-2
日本アクセス北海道株式会社(北海道札幌市)

ハンズフリーオペレーションにより、業務の時短化と作業精度の向上を支援

日本アクセス北海道は、全国で総合食品卸売業を展開する日本アクセスグループの一員として、主に北海道地域の食品流通を担う。ドライ、チルド、フローズンの3温度帯の食品を取り扱うほか、デリカ・総菜関連、原料・業務用食品、道産品にも力を入れており、道内に各温度帯に対応した専用の物流基地を有している。

なかでも、常温食品の物流を専門に扱うのが、江別ドライ物流センター。調味料、缶詰、カップ麺、コーヒー、茶などの加工食品から、ビール、ワインなどの酒類まで、5,000種類を超えるアイテムを取り扱っており、倉庫管理システム(WMS)やデジタル・アソート・システム(DAS)などを活用して、ロケーション管理、ロット管理、賞味期限管理などを行っている。今回の音声システム導入について、センター長の永森氏、副センター長の土島氏に話を聞いた。

「当センターでは、1日に約15,000〜20,000ケースの入出荷があり、これを的確かつ迅速にこなすためには、入荷検品、ピッキング、仕分け、出荷検品などの工程を、いかに効率化するかがカギとなります。とくにDAS対象外であるケースピッキング、仕分けについて、作業の時短化やヒューマンエラーの削減など、改善の余地があるのが課題でした。これらを解決するべく導入したのが音声システムです。」(永森氏)

「音声システムの最大の利点は、ハンズフリーで作業できる点にあります。ピッキングの際、チェックリストを片手に商品を運ぶのは、ちょっとしたコツが必要になり、体力的にも負担が少なくありません。安全性も懸念されます。両手が自由に使えれば、経験の浅いスタッフや女性のスタッフでも楽に作業できるだけでなく、目線の移動にも作業の流れにもムダがなくなり、より効率的なオペレーションが可能となります。」(土島氏)

また、入力の際、作業者が読み上げた数値が音声で復唱されるため、作業精度の向上にも貢献。食品物流において最も重要とされる賞味期限の管理徹底に役立つとのこと。一方で、読み上げに時間がかかる商品確定には、ハンディターミナルによるバーコードスキャンを活用。作業の特性や状況に応じて音声とスキャンを使い分けることで、より柔軟な運用が可能になったという。

「従来までは、物流荷役作業、とくに賞味期限のチェックに、カート型の専用機を使用していましたが、サイズや重量のせいで作業範囲に制限がありました。その点、ハンディターミナル、ヘッドセット、モバイルプリンタというウェアラブルなスタイルなら、ケースが積み上げられた狭いスペースでも自由に動き回ることができます。スキャンの精度も向上しており、作業効率は飛躍的に高まりました。」(永森氏)

江別ドライ物流センター(北海道江別市)
センター長 永森克史氏
副センター長 土島正嗣氏
入荷検品風景1
入荷検品風景2
入荷検品風景3
入荷検品風景4

ハンディターミナルでログインを行い、入荷検品を開始。バーコードスキャンにて商品を確定し、ケース記載の賞味期限、ケース数量を音声にて入力。入荷データとマッチすると登録が完了。指定のロケーションなどが印字された入荷ラベルをモバイルプリンタで発行し、ケースに貼付する。賞味期限の入力は、数字を順に読み上げても、年月日で読み上げても認識可能。騒音などで音声認識が正常に機能しない場合は、ハンディターミナルで直接キー入力することもできる。

仕分け・出荷検品風景1
仕分け・出荷検品風景2
仕分け・出荷検品風景3
仕分け・出荷検品風景4

スムーズな導入と柔軟な運用を実現し、現場の即戦力として活躍

音声システムの構築は、既存資産であるWMSを継承し、その配下に音声管理用のサーバを新設することで、低コストかつ短期間でのシステム構築を実現。ネットワークも、AP間をメッシュ接続することで、LAN・電源工事を最低限に抑えたという。また、音声対話エンジンを搭載する端末には、PDAタイプのハンディターミナルIT-G500を採用。2016年1月より順次導入され、2016年10月現在、計20台が現場稼働している。

「端末に、音声専用の機器ではなく、より汎用性の高いIT-G500を採用したのは、音声入力とスキャン入力を併用できること、大画面表示が可能なこと、アプリケーションの開発が容易なことなどが主な理由です。」と語るのは、本部で物流企画に携わる髙橋氏だ。

IT-G500のスキャナは、読み取り速度が速く、難読コードの読み取りや様々な角度からの読み取りにも対応しているため、ストレスなく作業できる。また、視認性に優れた4.3型WVGA液晶を搭載し、商品の一覧表示、数量や賞味期限などの入力数値をはっきりと読み取ることが可能。スタッフの高齢化が進むなか、作業精度の向上にも役立つ。もちろん、業務用端末として、倉庫内での使用に適した耐環境性能を備えていることはいうまでもない。

「IT-G500の導入は、ペーパーレス化にも貢献しています。作業指示などを画面表示することで、検品や仕分け用のリストをプリントアウトする必要がなくなり、従来比約25%の用紙削減を実現。プリンタのトナー代なども含めると、コスト削減効果は決して少なくありません。」(髙橋氏)

また、アプリケーションは、入荷からピッキング、仕分け、出荷検品まで、センター業務のすべてがまかなえ、トータル/オーダー、種まき式/摘み取り式といった、ピッキングや仕分け方法の選択にも基本機能で対応可能とのこと。現場にあった運用が容易にできる点が高く評価されたという。

「汎用性の高さや運用のしやすさは、今後、活用範囲を拡大するのに役立ちます。導入からまもなく1年が経ちますが、音声システムの整備は、まだ完成にまで至っていないのが現状。これからは、さらに台数を充実させるとともに、出荷検品やフォークリフトを使った1次仕分けなどにも利用していきたいと考えています。このセンターで安定稼働、および導入効果が証明され次第、他センターでの使用も視野に入れています。」(髙橋氏)

今回の導入計画は約2年前から推進され、システムの構築、音声対話エンジンの選定・シナリオ開発、ハードウェアの選定、設置工事、コストマネジメントなど、様々な面で最適な運用方法について検討が重ねられてきた。現場導入後も、音声認識の精度を上げるために改善が繰り返され、完成度を高めてきた経緯がある。髙橋氏は「今後も関係各社との連携を密にし、センター業務の主力とするべく、しっかりと着実に育てていきたい」と語る。

最後に、今回の導入および食品物流における音声システムの可能性について、常務取締役 ロジスティクス本部長の横山氏に話を聞いた。

「音声システムは、大規模なマテハン機器に比べ、小回りが利き、汎用性が高いため、様々な現場にスムーズに導入できます。また、シンプルなオペレーションで、様々な業務をこなせるのも大きなメリット。今回の導入では、ハンズフリーをコンセプトに、業務の効率化や作業精度の向上という目標をある程度達成しましたが、アイデア次第でさらに活用範囲を広げる可能性を秘めています。今後も、この音声システムのさらなる活躍に期待しています。」(横山氏)

常務取締役 ロジスティクス本部長 横山廣之氏
ロジスティクス企画部 物流企画課 課長 髙橋大輔氏

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