北海道ガスグループ 様

タブレットをフル活用したお客さま接点業務支援システムの構築により、総合エネルギーサービス事業への成長を見据えた事業構造変革を実現。

2014年12月17日掲載

KITAGAS

北海道ガスグループは、都市ガス事業を中心に地域に根付いた付加価値の高いサービ スを提供。事業の中核を担うIT 基盤として、お客さま接点業務支援システム『LINKS』を 開発し、2013 年10 月から運用を開始している。その中でフロントエンド業務を支えるの がV-T500。効率的なモバイル活用により質の高いワンストップサービスを実現するとと もに、一元化した顧客・地域情報を開発営業に活用。来るべき電力ビジネス本格参入 に向けた事業構造変革に取り組んでいる。

業務用品質を高く評価。基幹システムを支えるモバイル端末にV-T500 を採用

東日本大震災以降、エネルギーを取り巻く環境は大きく変化している。2016年より電力小売り全面自由化が実施され、ガスの小売り自由化も検討されている状況のなか、北海道ガスグループでは、都市ガス事業の基盤強化と、電力事業参入などの新たなビジネスモデルの構築を視野に入れ、中長期的な経営計画のもと事業構造の改革に取り組んできた。

これからは、エネルギーの自由化が進み、需要家つまりユーザーが事業者を選択する時代。エネルギー事業には、安定してエネルギーを供給する“ライフライン業”としての側面だけでなく、エネルギー供給を通じてよりよい暮らしを提供する“サービス業”という側面が強く求められることになる。そこで重要となるのが、企業と顧客との関係性だ。

「事業構造を変革するうえで、まず重要視したのがサービス品質の向上です。
お客さまを中心に据えた仕事のつくりかえを行うという目標のもと、お客さま接点業務を徹底的に見直しました。
その手段として取り組んだのが、IT 基盤の強化。お客さま接点業務支援システム『LINKS』の構築です。」
と語るのは、ICT 推進部課長の灘本氏だ。

ちなみに、ここでいうお客さま接点業務とは、ガスの使用開始・中止、機器サービス・点検、定期保安検査、メーター取替、リース・保守契約、営業・巡回など、顧客と接するあらゆる業務を指す。『LINKS』は、これらの作業管理を、モバイル端末を活用することで完全デジタル化するとともに、各種業務を通じて収集した顧客情報と地域情報を紐付け、一元管理できるのが最大の特長。

「従来までのガスメーター単位の情報運用とは異なり、地番単位で顧客データを管理・分析・活用できるため、迅速かつ確実、しかも丁寧なワンストップサービスを提供することが可能になりました。また、他エネルギーのサービス利用状況も取り込めるため、エリアマーケティングにも活用できるデータ構造となっています。」
ICT 推進部プロジェクト推進グループのマネージャー、重延氏は説明する。

現場で使用するモバイル端末には、カシオの業務用タブレットV-T500を採用。北海道ガスグループ内で、計545 台を配備し、現地対応業務を請け負う北ガスフレアストには、ほぼ1 人1 台の体制を整えた。

「モバイル端末の導入にあたっては、WAN/LAN の通信速度、画面の大きさなど、実際の使用を想定して、さまざまなメーカーの機器を検討しました。なかでも決め手となったのは堅牢性です。接点業務は、年間を通じて数10 万件にのぼり、スタッフ1人で1日20 件以上こなすというケースもあります。しかも、ラフに扱いがちなフィールド業務、氷点下が当たり前の使用環境を考慮すると、どうしても端末にはタフなスペックが求められます。」(灘本氏)

「コスト面だけ見れば、市販のタブレットを使用し、故障すれば新しいものに買い換えるという選択肢もあります。しかし、接点業務におけるモバイル端末の故障は、そのまま作業の中断を意味します。訪問先でこのような事態になることは許されない。その点、V-T500は業務用ならではの堅牢性を有し、安心して使用できます。」(重延氏)

また、実装するアプリを、端末メーカーであるカシオが開発できるという点も高く評価。ハードに最適化したアプリ開発が行えるだけでなく、ICT 推進部との連携が緊密になり、課題解決に迅速に対応、スムーズな導入にこぎつけたという。

▲ICT推進部 課長 灘本紀久氏
▲ICT推進部 課長 灘本紀久氏
▲ICT推進部 プロジェクト推進グループ マネージャー 重延淳氏 課長 灘本紀久氏
▲ICT推進部 プロジェクト推進グループ
マネージャー 重延淳氏
▲業務用タブレットV-T500
▲業務用タブレットV-T500

業務プロセスの改善をサービス品質の向上へとつなげるために

北海道ガスグループでは、業務単位ごとに管理していた情報を統合するなどの準備を経て、2013 年10 月よりお客さま接点業務支援システム『LINKS』の本格運用を開始。もちろん、カシオの業務用タブレットV-T500 も即戦力として、日々の業務の中で活用されている。

「フィールド業務へのモバイル端末導入は以前から検討しており、今回の現場投入は、まさに満を持しての登場といった感がありました。本格運用を前に、シミュレーション用のアプリを実装し、タッチペンを使った入力方法から、数ヶ月をかけてトレーニングを実施し、万全の体制で運用に臨んでいます。」(灘本氏)

V-T500を使用した業務では、作業伝票を使う従来までのスタイルとは異なり、現場で各種データを入力し、その場でエラーチェックを実行。本部に送信するだけでマスタデータが更新され、帰社後の伝票検収や作業結果の報告などの入力業務を大幅に削減できるのが特長。伝票紛失による個人情報漏洩リスクの軽減、伝票管理・保管の解消、コスト削減など、ペーパーレス化による効果も決して少なくないという。

「入力業務の効率化に加え、『LINKS』上のデータベースに、いつでも、どこでも、誰でも簡単にアクセスできるのもメリット。契約・サービス内容・機器などの顧客情報、過去の折衝履歴、予定されている営業情報、作業に使う技術資料を、個別に照会することなく端末から一括確認でき、お客さまの問い合わせに、その場で迅速に対応することが可能になりました。お客さまの声や現場写真など、伝票には反映しきれなかった情報も登録・参照でき、これらを訪問の際に事前に把握しておくことで、セールストークにも活かすことができます。」(重延氏)

また、V-T500 の導入は、現場スタッフに対する利便性だけでなく、指示を出す本部にも大きな効果をもたらしている。それが、地図データとの連携とGPS 機能を活用した、リアルタイムの作業進捗管理。よりきめ細かな要員配置を可能にすることで、現場まかせの作業管理ではなく、グループ全体で連携のとれた顧客対応を実現するのが狙いだ。

「新システムでは、全スタッフの現在地や作業状況がエリアマップに表示され、約5 分ごとに更新されます。作業の開始・終了も、端末入力時にすぐに反映されるので、作業に遅れが出た場合に、余力のあるスタッフを急行させたり、お客さまへ事前連絡を入れたりするなど、状況に応じてより効率的な対応が可能となります。」(灘本氏)

「導入から約1 年が立ちますが、お客さまからのクレームは確実に減少していますね。現場スタッフも、指定時間に作業できるため、ストレスなく業務に専念できると評判も上々。お客さまとのよりよい信頼関係を築くうえで欠かせない存在になっています。」(重延氏)

お客さまのため=現場のための事業構造変革を実現した『LINKS』。他方、V-T500 活用による日々の接点業務を通じて蓄積されたデータを、BIツールや地図システムといった新IT 基盤を活用し、重点営業ターゲット選定~提案営業活動~クロージングへとつなげているという。

「ここまでは、いわば第1フェーズ。地域情報の上にすべてのお客さま情報を一元的に活用できるものとし、第一に、お客さまへの迅速・確実・丁寧なワンストップサービスの強化をはかること、第二に、蓄積したデータの分析高度化により、IT 活用型の潜在需要開発営業を実現することが主な目的でした。これから来るべき電力ビジネス参入を見据えて、総合ネルギーサービス事業へ向けた飛躍を支える「守りから攻め」の基幹システムとして、『LINKS』をさらに拡張・進化させていきたい。そのためにもV-T500 には、大きな期待を寄せています。」(灘本氏)

▲V-T500を操作する重延氏
▲V-T500を操作する重延氏
▲画面例:接点一覧検索
▲画面例:接点一覧検索
▲画面例:LINKS-マップ(作業進捗状況)
▲画面例:LINKS-マップ(作業進捗状況)

導入製品・ソリューション

この製品に関するお問い合わせ

メールお問い合わせ